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ERPとは?

ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業のヒト・モノ・カネ・情報を一元管理し、業務プロセスを標準化・自動化するためのシステムです。ここでは、導入の主な理由を6つにまとめます。

1. データがバラバラだと、経営も現場も立ち行かなくなる

ERPを入れる前によくある状態:
  • 売上:営業はスプレッドシート、経理は会計ソフト、ECは別システム
  • 在庫:現場がExcel、倉庫はWMS、通販はモール管理画面
  • 購買:メールとExcelとチャットで注文管理
  • 社内共有:人によって見る画面が違う・数字も違う
結果として:
  • 「どれが本当の在庫数?」と毎回確認が必要になる
  • 粗利・部門別採算・プロジェクト別利益がすぐ出ない
  • 数字が合わず、締め作業に時間がかかる・ミスが出る
→ ERP導入の一番大きな理由は、「会社の“真実の数字”を1つにするため」

2. 業務プロセスを標準化・自動化したい

会社が大きくなると、同じ作業を人手に頼る運用では限界が来ます。 例:
  • 受注 → 在庫引き当て → 発注 → 入庫 → 出荷 → 請求 → 入金消込
  • プロジェクト開始 → 見積 → 契約 → 請求 → 原価集計 → 粗利算出
ERPを入れる理由は、
  • これらの流れを「決められたステップ」に落とし込み
  • できるところは自動でつなげる(ワークフロー化)
  • 誰がやっても同じ結果になるようにする(標準化)
ためです。つまり、**「人の頭の中にある“やり方”を、システムに固定する」**のがERP導入のモチベーションです。

3. 属人化を減らして、引き継ぎできる状態にする

ありがちなケース:
  • 「この見積の作り方は◯◯さんしか知らない」
  • 「売上計上のルールは△△さんのExcelにしかない」
  • 「ECと会計の突合は□□さんしかできない」
これは、その人が辞めた瞬間に業務が止まるリスクです。ERPにプロセスとデータを載せると、
  • ルールがシステムとして見える化される
  • 誰が見ても、どのタイミングで何をやるか分かる
  • 新しく入った人でも、マニュアル+システムで運用できる
「会社としての記憶」をシステム側に持たせるイメージです。

4. 経営判断を早く・精度高くしたい

経営層が本当に知りたいこと:
  • 今月、どの事業・どの商品がどれくらい儲かっているか
  • キャッシュがいつ、どれくらい増減するか
  • どの取引先・チャネルが利益を生んでいるか
バラバラなシステムだと、
  • 集計に毎回、数日〜数週間かかる
  • 各部署からExcelを集めて手で加工する必要がある
  • 気づいたときには「すでに手遅れ」になりがち
ERPに集約すると、
  • 売上・仕入・在庫・原価・人件費などを一気通貫で管理
  • 部門別・商品別・顧客別の採算がいつでも見える
  • 経営会議のために、わざわざ「集計プロジェクト」をしなくてよくなる
→ **「意思決定を早く・正確にするための基盤」**として導入されます。

5. 内部統制・コンプラ・監査対応

一定規模以上になると避けて通れないポイント:
  • 誰が、どのタイミングで、どの伝票を登録したか
  • 承認フローが正しく通っているか
  • ログが残っているか
  • 不正・ミスが起きたとき、遡って確認できるか
Excel+メール運用では、証跡が不十分になりがちです。ERPを入れると、
  • 承認ワークフロー(申請→承認→実行)がシステムに組み込まれる
  • 操作履歴(誰が、いつ、何をしたか)が残る
  • 監査・IPO・銀行審査などで説明しやすくなる
「ちゃんとした会社に見られる/なれる」ための投資でもあります。

6. AI時代でも変わらない導入理由

AIがいくら高度になっても、
  • データがバラけている
  • プロセスが人ごとに違う
  • ルールが頭の中とExcelにしかない
状態では、AIもまともに働けないのが現実です。だからERP導入の本質は、
「AIが正しく働けるように、データと業務を整理された“土台”に乗せること」
とも言えます。

ざっくりまとめ

ERPを導入する主な理由は:
  1. データを一元管理し、“正しい数字”を明確にするため
  2. 業務プロセス(受注〜請求〜在庫など)を標準化・自動化するため
  3. 属人化を減らし、引き継ぎと組織拡大をしやすくするため
  4. 経営判断を早く・精度高くするため(部門別・商品別採算など)
  5. 内部統制・監査・IPO・銀行対応などの「ちゃんとした会社」要件を満たすため